2-38 オックスフォード仲間との別れ
優香はとうとうオペアをしていた家庭の奥さんのオペアいびりに耐え兼ねて、2~3日のつもりでロンドンの知り合いの家へ家出したんだけど、1年のオペアガールとしてのビザと契約書に反するということで捜索願を出され、婦人警官に連れ戻された。
その後それまでのオペアの契約を解消。
私に荷物を預けてロンドンに新しいオペアの仕事を探しに行ったところ…
上流家庭のおめがねに叶ってマイフェアレディーのような生活をしているとの事だったけど…。
私のウエールズ行きに行き場を失った彼女の荷物をロンドンまで届けてあげた仁さんの話によると、
ツンとしてお礼もろくに言わず、待ち合わせ場所に一緒に来たその家のご主人と高級車でさっと去ってしまったって。
あとで本人に聞いたところによると、そこでもご主人に言い寄られ、奥さんとの間で板ばさみになったという。
真さんは、例の婚約者とケリをつけるためにロンドンの宝石学校通いを保留にして帰国。
仁さんもとうとう、二年間もジプシーの写真を撮り続けた、愛するスペインとカルメンのもとへ帰ることになった。
私ももうすぐ、ウエールズの小さな村へ…
そんな頃、寮に一通の手紙が届いた。
日本の元カレから。
(出ましたぁ~っ!私にだって彼氏のひとりやふたりはいたさー)
私のこと、「爽やかすぎて ”女” って感じがしない」 「妹みたいだ」 とか、
「これからも兄と妹のような感覚でつきあって行こう」 とか言って、いつも他の、
もっと ”女” を感じさせる女の子たちと、気軽に恋を繰り返す。
(私の親友だった子も含め)
でも私は自分に自信がなかったから、心の中では泣きそうで、でも、何ともないふりをしていた。ノーテンキと思われるゆえんかな。
"今" が壊れてしまう怖さから、
"それくらいなら少しくらい辛くても、今のままでいい" と思ってしまう。
かといって彼は、そんな私をキッパリ振るわけでもなく、
「キミには俺なんかより、もっとふさわしい男が現れるハズ。
俺に構わず、もっと自由に恋愛もしろ」
なんても言ってみたりもして。
たとえ妹扱いでもいい。他の女の人とのラブストーリーを聞かされてもいい。
私はそんな彼の自由奔放さが好きだった。
彼の人生を見ていたかったし、その中に存在もしていたかった。
どんな形でもいいから、彼と繋がっていたかったんだ。
へんな女心だよね。
でも大好きで大好きで堪らなかった人だから、本当はそんな状態がとても辛かったよ。
今度もね、
「そばにいなくなってやっと目が覚めた。すぐに会いに行く。」 という文面。
嬉しかったけど、すぐに不安の方がムクムク…
また同じことの繰り返しかも…
今度は、外人の女の子に取られるのかなあ…
それに、気になるのは、
「日本にいても、どうせしょうがないから」 って箇所…。
(日本にいてしょうがない人は、どこへ行ってもしょうがないって誰かが言ってた)
私はこれから遠くの家へ住み込みで働きに行く身。
せっかく頼って来てもらっても、何もしてあげられそうにない。
どう考えても、彼と私のラブストーリー ”続編・異国でハッピーエンド完結版”
成立の見込みは薄いでしょ。
どうして手離しで喜んで、
「早く来て!」 って言えないのか、自分で自分を 可愛い女じゃないな、とは
思う、思うよ。
だけどね…。 うーん…。
結局、
「ちゃんとした目標を持って、一人でもやって行ける自信を持って来て」
と出した返事に反応もないまま、ウエールズに旅立つ日が来てしまった。
よく行った仁さんの屋根裏部屋にお別れを言いに行き、心細い時、ひもじい時、いつも慰められ力づけられた手煎りのコーヒー、フラメンコギター演奏、そしてアドバイスにお礼を言うと、涙がポロポロ。
仁さんも、
「あなたは若いが、教えられたことがたくさんある。 お礼をする機会のないまま、
残念だ」
と、涙をこらえて。
元彼からの手紙を見せると、
「こんな勝手な男!」
と、 あぁっ!! 大事な手紙をビリビリ。
それからひどく申し訳なさそうに、
「悪かった。
俺にはこんなことをする資格はないのに。
かわりに美弥さんを幸せにしてあげるならまだしも、今の俺には力もないし…」
その仁さん、私が去ったその夜、日本人同士の飲み会で、
「3年も外国を放浪していると、人との出会いや別れは日常茶飯事。
もう涙も出ないよ」
って、大笑いしたそう。
ミニ オックスフォードとその周辺 案内

バンブリーロードとウッドストックロードをつなぐ、リトルクラリンドン
ストリートにあるおもちゃ屋さんのショーウインドウです。

見えるのは、ドールズ ハウス (お人形さんの家)
どこの国へ行っても女の子のおもちゃは同じ(?)だけど、
とってもイギリスらしい。

町はずれにある、セント デイビス スクール(高校)入り口
入ったところに掲示板がある(これもどこでも同じ?)

こちらはオックスフォードとシルバーストーン(カーレース場)の間にあ
る、STOWE スクール(高校)入り口
シルバーストーンにオートバイの後に乗っかってレースを観に行った
時に撮ったもの。
バイク用ジャンパーは借りものだけど、まだ黄色い胸当て付きジーン
ズを着ている。


通りかかった高校生。
入り口から事務所までは何キロもあるそう。
何だか日本の学校とスケールが違うね…!

このずっとあと知り合ったイギリス人の友人たち。
バイクでいろんなところへ連れて行ってもらった。

彼らのオートバイ。 どこ製?
- [2008/10/21 23:05]
- 第2章 ヨーロッパ諸国 |
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