2-34 ”針金師”で荒稼ぎ? 

故郷の話をおつまみに堅朗君と再会の杯をあげたスイス酒場とレストランでは、昔のままの生活が現代人の人々の間に生きて受け継がれているようだった。

狭い路地の入り組んだオールドタウンを歩けば、あちこちのカフェや酒場から陽気な笑い声…。
道端には、辻音楽師や、ビロードの風呂敷を広げて手作りアクセサリーを売っている針金師たち。
堅朗君もその一人。

髪は肩まで。無精髭にヨレヨレジーンズといういでたちの彼は、私に会いに、2時間ほど縄張りを離れて来たところ。

(やっぱ、結局、ロマンチックな再会は無理ってことかぁ…)


「ごちそうさま」

「いいよ、俺、金持ちだから。」

「相棒さん一人にしてきて大丈夫?」

「いいんだ。あそこは1時間2万円くらいにしかならないとこだから。」
(たぶん今の6万円くらい?)

「えーっ?! えぇ

「そうか、俺、金に無感覚になっちゃったなぁ」


彼は、ドイツに留学中だけれど、夏休みにチューリッヒのユースに来て、
この優雅な針金師たちにご対面。

「中近東に行きたいけど、金がないなあ」

とつぶやいたところ、

「じゃ、針金売れば? 10日で30万円は貯まるよ。」

と誘われ、クリスマスの最盛期にこうして出稼ぎに来たとか。

ふつう、一人がお巡りさん対策の見張り、一人が売る役で、お巡りさんが現れた瞬間、店(風呂敷)の四隅をつまんでさっさと逃げるシステムだけれど、捕まっても1万円の罰金を払えば、お巡りさんもニコニコして、

「シーユー アゲイン(またね)」

と言うそう。

「1万円くらい、税金だと思えば何でもないよ」

そもそもスイスの考え方がそうなんだって。
お金さえ払えばいいと。
だから駐車禁止の場所も車でいっぱい。

またスイスでは、大学生はイギリスと同じく少数エリート階級。
なのに捕まえた日本人針金師の身分を問うと、ほとんどが大学生なので、スイスのお巡りさんに不思議がられているとか。

少し前までは大学の教授や公立中学の先生もいて、

「東南アジアで思い切り遊びたい」

と、老体に鞭打って、必死で道端に座っていたとかだけど、この間、東南アジアのどこからかユース宛にクリスマスカードが届いた
そう。
みんな大笑いして、

「夢が叶ったんだな」


1年間で1,000万円貯めて日本に帰ってやきとり屋を開いた夫婦とか、待望のアフリカに、召使い、女陣付きの家を買い、別荘代わりにして今だにアフリカ、スイス間を往復している仲間の話…。

堅朗君と別れてユースに帰ってからも、針金師を巡る実録おとぎ話の数々を聞いて、楽しくて仕方ない。

芸大出のプロフェッサーさんは、ペンキを各色、1キロずつ買って来て、建築士のタコさんと構想を練ったあと、
刷毛にて5分で、スイス人好みの鮮やかな富士山や、花一輪を描き上げ、主に住宅地に売りに行く。

初めに押し売り扱いした相手には、あとで頼まれても絶対に見せないそう。
誇り高いんだ。
15,000円の絵が5枚売れたら、1週間はのんびり暮らすんだって。

でも、彼らは言うのです。

「こんな水商売、一時だと思うからできるのさ。
容易に入った金は、出て行くのも早いよ。

何かの目的のためにやるならいいが、なるべくなら、こんなことやらない方がいいよ。」

手先の器用な日本人。
とんだところで、技術を真似し合って荒稼ぎ。

読者ならどうする?
滞る? ちょっとだけ…?



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今週は写真がないので、代わりにといっては何ですが、

スポット観光編Vol. 8 「エーゲ海の島々とフィリピンのセブ島」

を同時にアップロードしました。
ビキニの水着姿も披露だヨ~ン。

(注: プロポーションに関してはがっかりしないでね。
 
だって日本人だもんっ!
 笑う


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