2-30 弟への手紙 後半 


でも好きなことをやるためだったらどんな苦労も何のその。

人に敷かれたレールの上をただ歩く人生より…歯車のひとつになるより、自分のやりたいことが、それをやることによって実現して行く… というのは、とても楽しいことです。

きっとどんな人も、目的や夢のためにがんばっているのだと思うけど、姉ちゃんの夢は、遠い夢やむずかしい夢じゃないの。
今、もうその中にいて、もっともっとそれを実現させるためにがんばっているんだもん。

今、さしあたりの目標は、クリスマスまでに5万円 (今の感覚で17万円くらい?) 貯めること。
そうすると船でスペインまで行って来れます。

亮介兄さんのバスは兄さん抜きでスペインまで行っちゃったけど、マックさん、12月に用があってパリに来てまた戻るというので、その時にいっしょにバスに乗せてもらえるし、
うちのクラスの人がドイツに車を変えに行くというので、行きだけ乗っけてってもらうこともできる。

あとはユースホステルに泊まれば安上がりだし、もしお金が要るんなら来学期、亮介にいや、あやめさん、さん吉さん、ネパールさんといっしょに働くよ。

姉ちゃんね、中近東とインドにすごく魅せられているの。
ヨーロッパにはないものが残されているようで…。

とても問題の多い国でしょ。
道路の上で生まれ、道路の上で死ぬ人がいるのはインドだけだって。
でも、インドの思想や国情やヒッピーの溜まり場の話や、何かを求めてあちらへ向かう旅人たちの話なんか聞くと、本当に行きたくなって来ます。
今はとにかく私もインドやネパールの人たちの中に入って暮らしてみたい。

沢山病気があって、ネパールさんも一度死にかけたらしいの。
ネパールの山奥で、宣教と教育を一人でやっている日本人の女の人に助けられたとか。
素晴らしい話もいろいろ聞いたけど、考えさせられることも多くてね。

歴史や国際問題、教科書の上だけでなく、自分で見て、現地の人たちの中に飛び込んで旅している人たちの話をとつとつと聞いて、姉ちゃんはまだ自分は子どもだなあと気付くのです。

イスラエルとアラブの関係も悲しい事実だね。
アラブの男の子たちは、自分たちの国を守るため、火の輪くぐりの訓練などやらされているそうですよ。
小学生のうちから。

いろいろ考えると、日本は本当にすごい国です。
あんなに小さくて山ばかりで、人の住める平地なんてもっと少ないのに、あれだけ恵まれていて自由で、治安も発達していて、GNPも世界第三位…。
そして話す言葉はどこの言葉とも似ていなくて、全く独立したもの。

もっと考えさせられるのは、日本の気質というか… 特に女性、その心の配りようやこまやかさ。
外国へ来て改めて、ちがう角度から日本の良さが見えるようです。

お母ちゃんのねんねこなんて、なつかしいね。

こっちはしょいこにひょいと赤ちゃん入れて、おとっつあんが、荷物みたいにしょって歩いたり、時にはロープを子どもの胴に付けて歩いている。

子どもは小さい時からお風呂にはひとりで入るし、(洋式のバスタブじゃ、他の人といっしょには入れない)子どもをメイドさんに任せきりの家族もいる。

こっちの子どもは、お母さんの背中でうとうとした心地良さや、家族でワイワイいっしょにお風呂に入る楽しさを知らないんだ。

イギリス人は理知的で厳しく冷たいってほんとなのかな。

全部が全部そういう人たちじゃないと思うけど、私の知っている家族や道を歩いていて見る限り、そんな感じの人が多いです。

日本ばんざいよ。
おんぶ、ねんねこ、金魚すくい、せんこう花火… いいなあ、日本。


ターさん、素晴らしい日本でがんばって下さい。
今は人間の基礎の時代なんだからね。
誰でも勉強しなくちゃならない時よ。
それを終えた時、本当にやりたいものを一筋にやり始めればいいんだから、今は将来を見つめながら、しっかり基礎を築いて下さいな。

将来やりたいことは、今もできるのよ。
少しずつ自分の一生を通して打ち込むものは何か確かめて、エネルギーをぶつけてね。
どうせなら楽しいこと、好きなことがいいね。

亮介兄さんや私は決してかっこいいんじゃないのよ。
そこをよくわかってね。
どっちかっていえばかっこ悪い生き方をしているよ。

でも、かっこなんて関係ないんさ。
どこにいても、そこでどう生きるか、何を持って生きてるか、が問題。

世界は広いけど、要は自分の心の中の世界の広さよ。
みんな一生懸命なんよ。
さがしているものにめぐり合おうってね。
くるしみもうれしさも、みんなそのためのくすり。

プラモデルが好きなら夢中になれ。
女の子が好きになったら、うんと苦しめ。
みんないいことです。

ではこのへんで。
おばあさんの様子、知らせてよ。
重要任務よ、OK?





   スコットランド小旅行


学期の変わり目に、私もおっちょさんや定夫さんの行ったスコットランド
へ、週末、行って来たゾー!!
勇者 ウイリアムの故郷だ。

アルバイトも順調だし、父も時々、お小遣い程度の仕送りをしてくれる。

お金がないからって、勉強とアルバイトだけで終わってしまったら、
目標がずれてしまうもの。
行ける状況にある時は、行きたいところへ行っておくよー!
「あとで」 と 「いつか」 はきっと来ないから。




エジンバラ町風景絵葉書文面

↑↓ スコットランドから出した、父宛て絵葉書文面


お元気ですか? 私は今、スコットランドです。
ものすごい自然の美しさに圧倒されるばかり…
どこまで行っても広々とした田園風景…
家が見あたらないのに、見渡す限り緑地帯で、牛や馬や羊がのどか
に草をはんでいるのです。
こちらはオックスフォードもそうですが、土の見える地帯がないの。
なんでもない道路わきの土地でさえ、日本のゴルフ場のような緑地
帯で、森と川と牛があたり前のようにそんなけしきにとけこんでいます。
もう一学期安い学校へ行き(10/10から) 来学期はオペアをするつ
もりです。
私のことはどうぞ心配しないで下さい。
みなさん お元気で。


注: オペアとは書生のようなもので、イギリス人家庭に住み込みで
   お手伝いをしながら学校へ通わせてもらえるシステムです。




湖水地方

湖水地方 レーベン湖 (絵葉書) 



湖水地方川のほとり

どこへ行っても、川の縁(ふち)まで緑、緑…



バグパイプ吹き

エジンバラの町に入ると、街角にバグパイプ奏者が…



スコット鼓笛隊

鼓笛隊も、演奏を披露

ちなみに、タータンチェックは家柄により異なり、スカートの下には
何も履いていないそうです。





エジンバラ城

丘の上に、エジンバラ城


エジンバラ城絵葉書

エジンバラ城 (絵葉書)

エジンバラ公 (女王のだんなさんでチャールズ皇太子の父ちゃん)
がお住まい



ミリタリータトゥー

エジンバラ城で開かれる伝統のお祭り (絵葉書)



エジンバラ城のお祭り

そのお祭りを、観客の私が撮った写真



ネス湖

ネス湖!!

細長くて、海と通じているんだって。
ほとりに朽ちたお城がある。



ネス湖のほとりのユースホステル

ネス湖のほとりのユースホステル

ここもお城の跡だとか。



エジンバラの街角

エジンバラの街角で ユース仲間と



スカイ島を臨む

スカイ島を臨む (絵葉書)

このあと、船でスカイ島へ渡ったよ




スコットランド帰り絵葉書


↑↓ ロンドンから出した父宛て絵葉書


皆様、きっとお元気のことと思います。
スコットランドからの帰り、ロンドンに一泊したので (スチューデントホ
ステルいっぱいでことわられたんだけど、いつもそこに行くので、そこ
で働いている黒人の女の子が友達だと言ってくれて、床の上にマット
レスをしいて1£でとめてもらえたの。ふつう2£なんだけど… 
1£=730円。その子、学校へ通いながら働いているの)
あくる日、バッキンガム宮殿に近衛兵の交替式 (毎朝行われる)を見
に行きました。
(この絵葉書)表のユニフォームを着たかわいい兵隊さんが、機械じか
けの人形のように楽器を演奏しながら交替したの。
その日の曲が、”故郷の空”。 夕空晴れて秋風吹き… 私が思わず
口ずさんだら、そばにいたおばさんがいっしょになって、自分の国の
歌詞で歌い出して顔を合わせて笑いました。 ああ我が父母…




<参考に>
この歌は、たしかスコットランド民謡。
”ああわがちちはは、いかにおわす” で終わります。





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