2-5 真珠の涙は涙の真珠? 


「俺たちはね、いじめようとしてこんなことを言ってるんじゃないんだよ。
キミみたいな純情な子が、どこかでひどい目に合いでもしたらと心配しての
ことさ。
世の中には悪い奴がいっぱいいるんだ。
外国でひとりで生きて行くってことは簡単じゃないぞ。」

それなら日本にいても同じじゃない?
嫌なこと、大変なこと、そして、悪い人はどこへ行ってもいると思うんだ。

どうして男の子は日焼けしてほこりまみれで旅して、自分の生まれたこの
美しい地球の風物を気ままに自由に見て歩き、
世界各国の人々と友だちになって、心の通うおつきあいができて…

女の子にはできないわけ?

それに私は、ちゃあんと自分が女の子であるということはわきまえていたか
らこそ、ヒッチハイクをしなくて済むように、長期有効の鉄道フリーパスも買っ
たんだし、
道路や公園で寝なくて済むように、全世界のユースホステル、学生宿、旅行
者を泊めてくれるカトリック女子寮や、お寺の所在地まで調べておいたんだよ。
女の子なら女の子なりの素晴らしい旅ができるよね?!
自分を守る強さも持っているつもりだよ!

「私、好きなことをしながら死ぬのはこわくない。
人間はどうせいつかは死ぬんだもの。
旅をしながら、きれいな湖のほとりや雄大な山のふもとで死んで自然に還れ
たら、かえって幸せかも。
誰かに殺されるとしても、相手に、

“こんな私を殺して一生罪に問われるあなたがかわいそう。
どうぞあなたを愛する方々のことを思って思い断って。
それでもだめなら仕方ないけど。
その際は、私の死体を美しい自然の中に捨てて。
ゴミ箱の中には捨てないでね。”

って言う。
私、死んでも構わない。
行った先、行った先で精いっぱい生きて、夢を叶えている最中なら、たとえ命を
落とすようなことになっても後悔しないもん。」

その私の言葉に、みんな、もう勝手にしろという面持ちで。
それ以上、取り合ってくれようともしなかった。 ┐(´д`)┌ ヤレヤレ  

その日のことだ。
女子用のロッカーがいっぱいで途方に暮れていたところ、ちょうど通りかかったユース仲間のひとり、自称商社マンが、自分の荷物といっしょに私のも、男子用のロッカーに入れて預かってくれると言う。
もう家族のような気がしていた私は、その申し出を受け入れ、バックパックと
手提げかばんを預けたんだけれど…。

その人は翌朝早々、私の荷物を受け付けに預け、チェックアウトして、姿を
消していたんよ。そして…

中を改め、手提げかばんの底にしまっておいたアクセサリー入れの中から、
叔母から贈られた唯一の宝石、真珠の指輪がなくなっていることに気付いた
時は、何度も何度も改めながら、心がズタズタに…。

十分なお金も頼る人もなく、日本を出てきたばかりの、それも自分を信用して
預けてくれた女の子のバッグから金目のものを盗み取るなんて、最低だよね!!もう、盗まれるようなものは何もないから、気は楽だけど。

“あんなろくでもない人に殺されたら、やっぱり後悔するかも”

って思った。



××× ××××× ××××× ××× ××××× ×××××

 
気が落ちることがあったので、気分一新のためにきれいなもの先取りね。
翌日行ったノートルダム寺院だよ。(世界遺産)




バラのステンドグラス500


バラのステンドグラス 外側より (直径10メートル)



ノートルダム2

その前に立って 

寺院の中で見たステンドグラスは、
床に落ちた虹色の影が揺れて呼吸しているようで、
本当に美しかった。




ノートルダム寺院裏側

寺院 反対側より

寺院にしては珍しい表情を持ったデザイン。 優雅で繊細というか…
さすがパリ?

(両親に送った絵葉書)


   ××× ××××× ××××× ××××× ××× 

                         

2-6 星の広場とシャンゼリゼ 


初めての外国着陸の日の翌日。
ユースホステルで出会った人たちの中に、
「JISU (日本国際学生連合) のパリ支部に、ロンドン行きの席の確認に行く」
という人がいたので、暇な面々4~5人とくっついていっしょに出かけることにした。

JISUパリ支部は、サンミッシェル通り88番地にある、並木の木陰の小さなオフィス。いろんな情報も教えてくれる。
その人の買ったロンドン行きの切符は、やっぱり学割で12,800円だったって。

用が済むと、陽ざしやさしいサンミッシェル通りを散歩しながら、みんなでルクセンブール公園まで足を延ばしてみた。

その手入れのゆき届いた広大な庭園の一画が最初に目に飛び込んで来た時には、その美しさにただ圧倒されて、口ぱくぱく。
言葉を失うって、こういうことなんだね。

(パリに着いてからはずっと、フランス語がわからないのに関係なく、言葉を失いっぱなしだけど…)

一瞬、パステルカラーの童話の世界に迷い込んだかと思った!

目も覚めるような色とりどりの花々が咲き乱れ、くっきり区分けされたそのパターンと色彩とコントラストの鮮やかなこと!
噴水あり、森あり、並木道あり、そして木々の間には石像がたたずみ…。

ほんと、別世界。
パリにはこんな公園がいくつもあるんだって!


さあ、今度は私のロンドン行き切符を買いにシャンゼリゼ通りの航空会社
へ行く番だ。
地面の下のうす暗い地下鉄の世界を通り抜け、エトワールの駅で降りて、
地上に出るエスカレーターに足をかけて上を見上げたその瞬間、
ぎゃーっ! またまた驚いたの何のってー。(◎皿◎)

ただの道路に出るのだろうと何の心の準備もしていないところへいきなりガーンと目前に現れたのが、荘厳に空に向かってそびえ立つ、巨大な石の凱旋門。
思いがけず恐竜にでもバッタリ遭遇してしまったような、恐怖感さえ伴う感動!

日本の田舎にいると、そんなに大きなものが目に触れてくる機会って、ほと
んど皆無だからね。
あー、びっくらしたぁ。 (゚Д゚;)

見事な彫刻が施された巨大モニュメントのその威容に、

“歴史の重み、ナポレオン全盛時代の威光、そしてフランス人の、戦没者の霊に対する敬虔な思いが、長い間風化に晒されながらも、今なお息づいている“

って、感じたよ。
それはね、きっと門の下に設けられた記念碑に捧げられる生花の山と、一年中、絶えることなく灯されているというかがり火のせいかもしれないね。

広島を思い出したけど、ちょっと違う。
何だかここでは、戦没者は英雄として祭られているような、そんな気がした。
小さな靖国神社が町のまん中にあるようなものなのかな…。


ところで、エトワールは、“星の広場” っていう意味だって。
この凱旋門を中心に、12のアベニューが星の輝くさまのように、四方八方に広がっていて、そのうちのひとつ、なだらかな坂道がコンコルド広場に通じているのが、シャンゼリゼ通りなんだ。

私の空想では、シャンゼリゼって、もっとこじんまりして、たくさんのお店やカフェがごちゃごちゃ並ぶ、石畳かなんかの道だと思ってた。
霧にむせぶガス灯、アンティックの馬車、カフェまわりのアコーディオン弾きのおじさん…。
そういうのって、遠い昔のことなのかなー…?
 
現実は、道路幅約100メートル、舗道幅もそれに負けず広い、交通量の多い大都会の大通りで、お店もカフェもあまり見当たらなくて、オフィス風の立派なビルの方が多い。
それぞれ趣向を凝らして並ぶそんなビルの連続、車道と舗道をしきる街路樹の並木のたたずまいも、それなりに何ともいえないフランス的美観をたたえてはいたけどね…。
 
o(・_・= ・_・)o キョロキョロ








凱旋門と星の広場 (祖父母と弟に送った絵葉書)


星の広場





下に参考資料あり



続きを読む

スポット訪問記 Vol.2 海の中の城-モンサンミッシェル 

   タイトル


世界遺産 フランス、ノルマンディー地方かつては要塞、僧院、監獄などを経て、今はにぎやかな観光地。
坂の両側は、おみやげ屋さんでギッシリだった。

僧院へ食べ物を届けるのに、何十メートルのがけを紐で吊り上げた道具などもあったよ。

朝夕2回、ざーっというすごい轟音と共に波が押し寄せ潮が満ちて、30分くらいの間に、まわりじゅうが海になってしまった。

入口付近に車を駐車していた人ね、車が水に沈んでしまって、大慌てだった。
潮が満ちることは知っていたと思うけど、
まさかそんな短時間の間に突然水没するとは、想像もしていなかったんだろう。
その場に遭遇した人なら誰だって、自然の起こすそのミラクルにはわが目わが耳を疑うだろうと思うよ。

ほんとに、よくこんなところに建物を建てたものだよね!
誰が何の目的のために?
 
それは皆さんが自分で調べましょ。
私は興味のヒントを提供するだけにしときます。
 


 
モンサンミッシェル500


モンサンミッシェル絵葉書500


城の上より



(下の写真で私、このあたりの↓上流にいるんね)

モンサンミッシェルちらし切抜き



モンサンミッシェルの海4
(合成写真じゃないよ~ん) 
    


*****  *****  *****  ***** 


2-7 ぐるり圧巻 コンコルド広場 


凱旋門寄りのビルのひとつの中に、
格安切符専門旅行会社、ダンエアーの事務所を探すよ。

日本のように看板やポスターだらけの通りと違って、フランスでは景観保護条例というのがあるそうで、正しい住所を持ってよっぽど近くまで行かないとどれが何のオフィスだか全然わからないんだ。 (・。・;)

しばらくウロウロして訪ね当て中に入ると、まだ閉まっているオフィスの前に、ヒッピー風の外人の女の子たちが座って開店を待っている様子。
さっそく私たちの仲間のひとりが英語で話しかける。

ラペラ。 ペペラ。

いいなあ、英語が話せるって…。

彼女の聞くところによると、このオフィスはしょっちゅうストライキをやっていて、なかなか開かないんだって。

しばらく待つと、「開けごま!」 の念願叶って開店したうえ、二日後のロンドン行き切符が即座に買えた。5,800円ナリ。

みんな頭を寄せ合って、

「うそだろ。これ、本当に飛行機か?
学割だって12,000円くらいだぜ、今。」

「ちょっと時間表、見せろよ。どこの飛行場着だ?
あれ、おい、イギリスにアッシュフォードなんて飛行場、あるか?!」

「聞いた事ないわ。」

「あれ、パリ-ロンドン間てせいぜい1時間だろ?
これだとあちこち寄って5時間以上かかるぜ。」

「おいおい、密輸機かなんかじゃないの? それ。
それとも途中で方向転換してアラブの方へ連れて行かれて売り飛ばされるとか…。 おら、知らね。」

文明国フランスの中心、パリのシャンゼリゼ通りの航空会社で買った切符。
間違いないと思うんですけど…。 (´(・)`)


さあ、それじゃ、
あこがれのシャンゼリゼ通りを、コンコルド広場まで歩こ!

マロニエの並木が晩夏の陽ざしをキラキラ反射し、通りには見知らぬ外車があふれるように流れている。

その中で一番気に入ったのがシトロエン。
車体が低くて丸みがあって細長くて粋。
街路樹の下の白い舗道に駐車してあったりすると、シャンゼリゼの持つその雰囲気にピッタリ合うんだ。


コンコルド広場に近づくと、広々とした公園地帯が続き、緑もぐっと増える。
そこここに置かれたベンチも、ステキなデザインの緑色。
鳩が人なつっこく寄って来る。

ユース人は慣れたもの。
常備のズタ袋の中からパンを取り出し、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ…。


コンコルド広場に着いた時には、またまたそのスケールの大きさに度肝を
抜かれてしまった。立体スクリーンの真ん中に立っているよう。

広場の真ん中には、わけのわからないエジプト風文字の刻み込まれた20数
メートルもある舎利塔(オベリスク)が建ち、

何人もの女神像の支える噴水があり、ガス灯風情の街路灯、

そして思いっきり広く場所を取った、その広場のバロック調建築群の背の高さ
ときたら…。

ギリシャのパルテノン神殿を思わせる円柱神々しいマドレーヌ寺院も、広場を
左に折れたつき当たりに聳え、

右にはセーヌ河とそれにかかる橋、向こう側はブルボン宮、目前にはチェル
リー公園とルーブル美術館、後ろにはシャンゼリゼと凱旋門、斜め後ろには
エッフェル塔と、

どちらを見ても見渡す限り、雄大な景観だ。


だけどここは、
実はルイ16世とマリー・アントワネットが処刑された場所なんだって。
映画やドラマで見たことあるけど、確かギロチン台で、じゃなかった? 

……(たたずむ)







コンコルド広場 
(from PHOTO LIBRARY)


コンコルド広場オベリスク



コンコルド広場から凱旋門



コンコルド広場2

      


コンコルド広場



       



2-8 溜息、底をつくなり 


この広場で大革命の時、マリーアントワネットをはじめ1,300人あまりの貴族たちがギロチンにかけられたんだって!
その時代は、ずいぶん血生臭い風がこのあたりを吹き渡っていたんだろうね…
生首ごろごろ、流れ出る血、悲しい叫び声…
数え切れない程の人生のドラマがここでいや応なく断たれ、そしてまた新しいフランスの歴史が始まったんだね…。


コンコルド広場を突っ切ってそのまま進むと、息をのむほど壮大で優美なルーブル美術館をバックに、ルクセンブール公園に引き続き、また可愛らしい花々の咲き溢れるチェルリー公園が私たちの足を誘う。

公園の緑色のベンチに座り、目の前に建ち広がる巨大な芸術品の宝庫、ルーブル美術館の建物を眺めていたら、ただ見とれるばかり。

デザイン、素材、色の調和… 

ほんと、ルーブルの建物自体、最高傑作美術品として、美術館に入れてもいいくらい。(「続きを読む」に入っている写真を見るべし)

外部、内部ともに、これがフランス芸術の集結だとしたら、その芸術はすごい、と、ただただ感嘆して日が暮れるのだった。


それからオペラ座通りに出て、通りの両端に堂々と合い向かって建つ、ルネッサンス全盛時代の芸術に向けられた精神的物質的豊かさの象徴のような豪華
絢爛たるオペラ座と、
コメディーフランセーズ(フランス喜劇座)を仰ぎ見て、パレロワイヤルから地下鉄に乗り、夜のモンマルトルへ向かう。

モンマルトルの丘の上に建つ白亜の大聖堂、サクレクール寺院は、丸みのある柔らかい輪郭に、アラビアンナイトを思わせる異国情緒たっぷり。
狭い、何本もの路地が頂上に向かって曲がりくねり、古い民家やお店がひしめいて軒を連ねている。
私の好きなユトリロの絵の場面にも出くわしそう。

入口を取り払った食物屋さんのひとつから、外側はこんがり小麦色、中はしっとりふかふかのフランスパン、バゲットのサンドイッチを買ってかじりながら登って行くと、何だか浅草が思い出された。
その坂道の広場には、たくさんの芸術家のたまご風の人たちがそれぞれ、自分の絵や手作りアクセサリーを道に広げている。
「これぞパリ」って香りで満ち溢れているよ。

たくさんの階段を登り、寺院の前から見下ろした本物のパリ全図。
あれがエッフェル塔、あれが凱旋門…。
水に映るあかりをたよりに、セーヌの流れをたどってみたり…
コバルト色のもやに包まれ、まばゆい宝石をちりばめたパリの夜景は、思い描いていた通りのロマンチックな雰囲気を醸し出していた。
(あー、隣に誰かステキな人がいれば最高なのに… ね!!)


来た時とは別の坂道を下りて行くと、道端の、赤いカーテン窓に灯ゆれる傾きかけた古い酒場から、陽気なシャンソンと笑い声が聞こえて来るじゃないの。
あれ? ほんとに私は夢の世界にいるんかいな?ってほっぺをつねりたくなってしまった。 だってそれが!
ユトリロの絵にある雪のモンマルトル中腹のシャンソンキャバレーで、ピカソもしげく通ったという ラ パン ナジル (跳ねうさぎ) だったんよ!

残念だけど、入場料が高いというし、服装からしてみすぼらしい私たちは、二の足を踏み、しばらく外からそのキャバレー全体が包まれているフランス的趣を鑑賞するにとどめ、
ふもとの ラ マルク コーランクールの駅から、ユースホステルの床への帰途についたのでした。 (´-`).。oO(・・・・・・・・・)









ルーブル美術館
手前はチェルリー公園

ルーブル美術館



オペラ座(1) 正面
「オペラ座の怪人」の舞台でもあるね!

パリオペラ座正面


オペラ座(2)
内部がよくわかるでしょ

オペラ座絵葉書


オペラ座(3)
マーク シャガール作の天井画

オペラ座天井画


(以上は、家族に送った絵葉書・クリックすると少し大きくなるよ)



モンマルトルの丘 サクレクール寺院

サクレクール寺院



寺院に続く階段のひとつ

モンマルトルの丘階段


(日本のお寺や神社にお参りする階段みたいだね!)